秋、この時季になると秋色に染まった鱒を意識する様になる。
そろそろ、遡上してくる大型が居るのでは?と考えを巡らせていた。
期待した週末、後輩に同行して貰い山間の谷を目指した。
先月の大雨が傷痕を残し、一部のルートは崖崩れで通行が困難になっている。
迂回しつつ、狙いを定めたポイントに入ってみた。
谷に降りてみると、やはり大雨の影響なのか期待していた場所は
土砂が堆積し魚をストックしていた小規模ダムは埋まってしまっていた。
魚は残っているだろうか?
傷痕を残す沢を登ると、素晴らしい景色が残っていた。
自然の美しさを知れるのは、アングラーの特権なんだと思う。
しかし、魚からの反応は得られない。
1時間半ほど釣りながら登ったが、数匹のチェイスのみ。
景色は良いのだが、魚影は薄い様だ。
一度、車に戻り別の沢に移動してみる。
尾根を越えて、反対側の筋に入ってみた。
ここは以前に入った際に、良い思いをした記憶がある。
今季の最後は、ここで良い思いをして締めくくるつもりでいた。
期待をして入渓。
ここは山岳渓流となる沢で、短い距離で一気に標高が高くなる。
本命のポイントまでは、15~20分ほどのハイキングと沢登り。
木々を見ると、うっすらと紅葉が始まっていた。
今シーズンの終わりが近いのを感じる。
ポイントに着いてロッドを振ってみるが、全く反応が無い…。
はて、どうしたものか?
上流が気になり、もっと上を目指してみる。
すると、段々と魚の反応が出るようになってきた。
ただ、極めて動きが鈍い。
ヤマト系イワナは、もともと動きが鈍いのが特徴だが。
それにしても、ゆっくりとルアーを追尾して見に来る。
そして、ルアーを咥えようとしない。
何度も何度もアプローチしていると、スタッフU君が掛けた。
背中を真っ黒にした良型だ。
先日の大雨で荒れた沢でも、逞しく生き残った個体だろう。
サクッとカメラのフレームに納めて、優しくリリースする。
まだ上流にはポイントが有りそうだ。
次のポイントを狙うには、目線の高さに水面が有る。
ちょっと覗きこんでみると、魚と目線が有ってしまった。
居る居る♪ただ、喰わせるのが難しい。
なにせ狙いは3m以内、場所によっては魚との距離が2mも無い。
恐ろしく近い距離での攻防戦だ。
こちらは岩や木に化けて、手だけ動かして誘いを掛けている。
息をするのさえ躊躇うほど、真剣勝負は白熱し面白い。
魚の反応があると、どんどんと登ってしまうのは釣人の性だろう。
高度は高まり、遠くに見える山並の頂上と然程変わりない様に思える。
機械で計ったわけでは無いが、標高1500m以上は来ているだろう。
帰宅してから国土地理院のWeb地図で確認すると、
沢が地図から消えた辺りまで登っていた事が分かった。
見上げると、遠くに大きな滝が見える。
おそらく、今回の装備で行ける限界はあそこまでだ。
岩や崩れた大木を越え、最後の滝を目指す。
一歩間違えば命取りに成りかねないので、慎重に登っていく。
そこにはタタミ6畳程の溜まりが出来ている。
覗くと魚影が確認出来た。
ルアーを放り込むと、激しく襲ってきた。
やはり、居るところには居る。
あいにく大物は逃してしまったが、満足出来た。
振り向くと、空は広がり太陽が眩しい。
眼下には深淵とした谷が見える。
登山を楽しむ方は、こういった素晴らしい景色を感じる為に登るのだろうか。
あいにく登山よりも釣りが好きで、山より魚の私にとっては分からない。
ただ、振り向いた時の景色の良さは人間だれしも感動するだろう。
さぁ、戻ろう。
登りより下りの方が辛いのは、経験者には分かって貰えるはずだ。
足の腿は、蓄積した疲労と乳酸で震えている。
近道をしようと思うと、危険な場所を通りかねない。
急がば回れと言う通り、一歩ずつ確かめながら一時間位かけて沢を降りた。
気温は上がり、暑いほどだ。
遅めのランチを頬張り、最後の河川を目指す。
既に体力は限界なので、様子だけ見て帰るつもりだ。
とあるダム湖の遡上を見ていこうという算段だ。
しばらく車で移動し、河川に着いて魚影を探してみる。
既に他のアングラーがポイントに鎮座し、魚の気配は見当たらない。
今年は見つける事は出来なかった。次の出会いは来季に持ち越しだ。
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そして、時は進み9月の末日。
今季最後の釣りに挑んだ。出勤前の1時間だけの勝負だ。
狙うは天竜川の支流となる小さな沢。
例年、秋色に染まったアマゴが登っているはずだった。
そう、居るはずと思っていた。
ここにも大雨の影響が少なからず出ており、沢の入り口が土砂で浅くなり
沢に遡上するには些か困難な状況になっていた。
それでも、2匹だけ魚影を確認することが出来たのだが、
残念ながらキャッチするまでには至らず。これにて今シーズンが終了。
ちょっとだけ不完全燃焼感が残る形となってしまった。
今季も流行り病の影響で右往左往させられた一年だった。
出来るだけフィールドに通ったつもりだが、
思った以上の結果を残せたとは言いにくいシーズンであった。
来年こそは、納得のいく結果を出していきたい。
それまで別の釣りを楽しんでいこう。
TackleData
Rod : Rayz RZ542S-L & Prototype
Reel : STELLA C2000
Line : PE 0.6号
Leader : 8lb(1.75号)
Lure : LurestudioYamato (Yuiro)
ぷらぐや工房(鼎)
Woodream(Arbor)
Angler : Staff Funaki
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