名もなき滝


だいぶ古い話。
私が学生時代の頃の写真だ。
友人が渓流へ釣りに行くとのことで、
同行することになった。
場所はK県の某所。
彼の話によると、
地図に載っていない滝があると言う。
そんなことが有るわけないと私は言ったが、
地図を見せられて閉口した。
その場所に連れて行かれて、
場所を確認したのだから。

Google Earthのアプリや
GPS機能を持った携帯電話など、
今の最新機器を使っていると、
すぐ見つけてしまいそうだが、
当時の私には地図が全てだった。
シャワークライミングでも人気な河川で、
遡行中に何人もの方とすれ違った。
しかし、この滝に行くには、
本筋の川をいったん離れ、
ひと山を超えた先にあった。
もう一度行けと言われても、
道もわからないし、
ウエダーを着込んで山登りは御免だ。
10代だからこそ出来たことだろう。
思い出しても、おバカな話だ。
その日の釣果は、貧果だった。
お互い、イワナを数本釣ったのみだった。
でも笑いながら帰った覚えがある。
釣れても釣れなくても楽しかった。
ただ、釣りに行くことに意味がある。
ふと見つけた花が気になったり、
コケてウエダーに穴が開いたり、
自然と遊んでいることが面白いわけだ。
いまだに彼とは連絡をとり、
北海道に住む彼の下へ
時間があった時に遊びに出かけている。
今度は、どこの名無しポイントへ
連れて行かれるのだろう。
今から楽しみだ。
Tacle Data
Wader : ナイロン製の未透湿防水 
Mental : 無邪気な好奇心
Map : 遭難しそうなくらいアバウト

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