天龍テンカラ風来坊 ( TF32TA )

天龍テンカラ風来坊 ( TF32TA )

【3way、最短の仕舞寸法】
源流域や藪に覆われた沢を釣り歩くと、
否応にも木々が邪魔をして素直に釣りを楽しめない状況は多い。
そんな時、全長が3m以内の短竿の存在は、
普段では躊躇するフィールドでも充分に遊べる場所に変わって来る。
今作の 風来坊(TF32TA) は、その最たる竿と言えるだろう。
短い竿であれば作るのは簡単なのだが、
今作は 2.8m、3.0m、3.2m と3段階長さ調整が出来るようになっており、
さらに仕舞寸法を 25㎝ と、同シリーズの中でも際立って短くしてみた。


山岳渓流をトレイルする方は出来るだけ荷物は少なくするのが基本で、
コンパクトに仕舞える道具が重宝される。
既存の 風来坊(TF39TA) も仕舞寸法が 34㎝ と充分に短くなるのだが、
前述の通りフィールドによっては3m以下の全長が欲しくなるわけだ。
また、私の場合はルアーフィッシングも一緒に楽しむ事もあるので、
ルアーのタックルと合わせてベストやバックパックの隅に忍ばせ、
遊び方の幅がぐっと広がった様に思えている。
私なりの使用法としては、ズーム機能の真ん中(3m)を基準に、
ブッシュが覆いかぶさる様な川なら短くしたり、
手前の流れを跨いで対岸に毛針を投げ込む際は長くしたりと、
状況に応じて長さを変えて楽しんでいる次第だ。


 

【仕掛け4.5m以内を推奨】
竿が短いため、仕掛け全体の長さは4.5m以内が快適だ。
私の場合、レベルラインと撚糸タイプのテーパーラインを併用するが、
どちらも3m前後のメインラインに、1m程度のハリスとしている。
下記は参考値だ。状況に応じてハリスの太さを色々と試して欲しい。

・レベルライン
 メインライン:フロロカーボン 3.5号(3m)
 ハリス:ナイロン 2.5号(50cm) + 1.0号(50cm)
 針サイズ:8番サイズまで

 


 

【開発秘話】
開発に4年を要した問題児のテンカラ竿が今作であり、
当初は2年以内には仕上がるだろうと見込んでいたが、
まさかこれだけ時間と手間を要する竿になるとは思いもしなかった。
記録を遡ると2021年のムック本『山釣りJOY2021』の実釣取材で、
試作品を使用している写真が出ていたが、この時点では
調子が決まらず右往左往していた頃だったと思える。
仕舞寸法を25㎝という最小サイズでありながら、
3段ズーム機能を持たせるといった竿は知りえる限りでは無い。
釣竿は継部(ジョイント)が増えると、重なる部分が増えるので
否応にも硬くなる傾向があるため、テンカラ竿の様に
『しなり』を活かした調子を作るには適度な柔らかさが必要になる。
しかし、コンパクトに仕上げると強度が落ちてしまう事もあり、
調子が良いのに強度が無かったり、
強度はあっても調子が悪かったり…と、堂々巡りに陥るわけだ。
風来坊の立ち上げ時から協力して頂いているF名人のほか、
各地のテンカラ師にも協力頂きながらテストを重ねた結果、
調子と強度のバランスが取れた物が仕上げる事ができた。
(ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました)

【自然を楽しむアングラーへ】
天龍テンカラ風来坊を手に取って頂ける方には、
山を愛し川も愛すアングラーにこそ使って頂きたい願いがある。
本来は職漁師が魚を獲るために広がった釣りかもしれないが、
現代では釣り文化としてテンカラが根付いている。
空前のアウトドアブームがひと段落してきたが、
山岳渓流をはじめとした釣りを楽しむ方は多くなる一方だ。
必然的に釣人が多ければ魚の数は減ってしまう訳だが、
捕り過ぎず節度をもって挑めば永年楽しめる釣りでもある。
風来坊を手にする事は、自然を大切に出来るアングラーであり、
文化としてのテンカラ釣りを残していって頂ければ幸いだ。

Staff Funaki 

 

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