2019年の晩秋にSWATのフルモデルチェンジを発表した。
反響は大きく、期待していた方が多かったのが伺える。
今作のコンセプトとして打ち出したのは、〝求めたモノは、進化した個性〟
個性を重視した前作より、さらに進化したモデル群を目指している。
今回は概要と何が変わったのかを紹介していきたい。
・系譜
初代SWATを発表したのは2005年。
高弾性のロッドが世を席捲していた時代に、
トルクを重視したブランクは玄人向けのアクションとして定着。
ちょうどPEラインがシーバス向けとして普及し始め、
PE専用モデルなど使い方に細分化の波が来ていた。
2012年に2代目SWATを発表。
フィールド、使用ルアー、ターゲットサイズなど使用方法に
個性を求められる時代となり、各機種に明確なコンセプトを持たせ
アングラーのスタイルに有ったモデルを発表してきた。
PEラインの使用は当たり前となり、一般的にKガイドと呼ばれる
ライントラブルを防止するガイド形状が普及し始めた頃でもあった。
伸びが少ないPEラインの恩恵は大きく、感度と飛距離を飛躍的に高めたが、
副作用としてヒットさせた魚をバラシ易いという事もあった。
2代目SWATは初代から続くトルクを重視したアクションを踏襲し、
PEラインのウィークポイントであったバラシ易さを改善出来ていた。
時代は更に進み、細分化とは逆行して1本で出来る汎用性も必要となってきた。
個性を重視しながらも、対応出来るルアーの汎用性を問われる様になり、
曲がるアクションであっても飛距離も求められるようになった。
また、数年前からC・N・Tという新素材を採用し始めたことで、
そろそろ新型を考えてみようと思い3代目SWATを企画するに至った。
・ブランク設計
今作の目標は、ブランクの運動性能を上げネバリ強さと飛距離を両立することだ。
シャープなキャストフィールと、曲げ込んだ時にネバリを感じられる調子を求め、
シーバスロッドのフラッグシップモデルとして開発に挑んだ。
一般的にロッドのネバリ強さを上げようとすると、
反比例してブランクの反発力が落ちるため飛距離を伸ばし難くなってしまう。
単純に弾性率を上げると反発力が上がり、シャープなキャストフィールと共に
遠投性能も上がっていくが、反面ネバリが無いのは周知のことだ。
その矛盾に立ち向かう為に効果を発揮したのは〝C・N・T〟であった。
C・N・Tの効果はご存知の方も多いと思うが、カーボン繊維の間に含まれる
樹脂に配合することで、自重を変えずに繊維の剥離を抑えネバリが向上が見込める。
高弾性にしてもネバリが落ちにくいとなれば最高のロッドだろう。
ただし一概に高弾性カーボンを採用し、C・N・Tを入れたのが今作という訳でなく、
カーボンの弾性率・厚さ・プライ数(巻数)、マンドレル(鉄芯)のテーパーなど、
あらゆる角度からブランクを構成する内容を吟味し形成させている。
よく聞かれるのが、このブランクには何トンカーボンを使用しているのですか?と
展示会などで質問を受ける事があるが、高弾性から中弾性まで何パターンにも及ぶ
素材を重ねて作っているため、一言で言い表すには大変難しいところだ。
・モーメントの妙
スペックを見ていて面白いのは、前作に比べて自重が重くなっている点だ。
今作を手に持ってもらった時、軽い!と感じる方が多いのだが、
実際には数値で見ると同じ長さのモデルと比べて自重は重い。
フィールドテスターにもロッドを渡したとき、軽いねと言われた時はニヤついてしまった。
これはリールをセットし、グリッピングした時のバランスを調整しているからだ。
前作では手に馴染むコルク素材を採用していたが、リア部にはEVAを使っていた。
これはEVAの方が比重が高く、バランサーの役割をしてくれる狙いが有ったからだ。
今作はリアグリップ長を短く設定した機種もあり、
モーメントが崩れてしまい持ち重り感が出てしまうのは明白であった。
そのモーメントを改善するために、西陣織カーボンを採用したリールシートと
EVAグリップをバランス良く配置し、バランスの取れたグリップとしている。
ぜひ、フィッシングショーなど展示会などでも手に取って、
バランスの良さを感じて欲しい。軽さだけでない点が分かって貰えるはずだ。
・リリース時期
2020年の初夏に発売をめざしている。
じゃぁ何月だよ!とツッコミが多いと思うが、
まだ、この原稿を書いている時点でグリップ部の金属パーツなどの
微調整を行っているところで完璧な仕上げに持っていきたいと思うと、
何かと時間ばかりが掛かってしまっているのが現状だ。
改めて発売時期が決まったら、発表する予定なので今しばらくお待ち頂きたい。
次回は機種別の紹介を予定中。ご期待下さい。
Staff Funaki
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