20年以上昔になるだろうか、
当時のシーバスロッドはトラウトロッドの
延長であるようなロッドであったと記憶している。
今でこそ低レジン・高弾性カーボンロッドは当たり前だが、
当時はボロンなど異素材を使ってロッドに張りを出していた。
その頃のロッドを改めてみると、
こんなに柔らかかったか…と思えるほどだ。
少年の頃、BASSばかり狙っていたが、
私の地元は、海や大河川、汽水湖が近いこともあり、
シーバスをルアーで狙うこともあった。
専用タックルは借り物で楽しんでいたのだが、
専用ロッドは欲しくなる訳で…。
とある日、釣具店にロッドを見に行くことになる。
店員さんに聞くと、 『 9ftが基準だよ 』 と教えて頂いた。
当時は選択するほど専用ロッドは少なく、
一様に しなやか でソフトなアクションのモノが一般的。
ラインはナイロンが主流で、ダブルラインを組み、
メインラインの倍の太さのリーダーを結ぶのが定石と教えられた。
お小遣いを大奮発してタックルを揃えて、
近くの川に行くのだが、そんな簡単には釣れない…。
釣れないまま1年が過ぎ、
今日こそはと、海に一番近い
河口に架かる橋下に釣りに出かけた。
冬の河口、潮は大潮後の中潮。
釣れないのが悔しくて、タイドグラフの読み方を教わり、
ポイントの攻めかたも教えて貰っていた。
あとは釣るだけ。
中学生が夜中に自転車で釣りに出掛けていたなんて、
今では考えられないかもしれない。
補導されてもおかしくないですよね…
まぁ、これは時効ということで…
いつも投げていた ラパラCD9 の レッドヘッド を結び、
橋の下に出来る明暗にキャストを繰り返した。
何時間過ぎたのか、潮位も下がりソコリ寸前。
寒いので帰ろうかと思っていたころ、不意にロッドに違和感が。
リールを巻くと、少し抵抗がある。
取り込んでみると、セイゴが掛かっていた。
これが私の初シーバス。
嬉しくて写真も撮り忘れていた。
私のなかで、シーバスタックルの定番が当時の記憶になっている。
進学のため上京し、東京湾でシーバスを釣りに行くときも、
同じタックルを愛用していた。
その後、天龍に就職し、
現代風のタックルに触れ、
色々とスタイルの違いによる
シーバスフィッシングを知ることになる。
あれから20数年後、
ロッドのデザインをする仕事を生業にしているのだが、
倉庫であるロッドを見つけた。
それが 『 LSP 』。
LSP の項を前回に書きました、
↓ 気になった方は読んでみてください。
『 LSPという名のロッド 』
LSPを持った瞬間、懐かしいと思えた。
シーバスフィッシングを覚えた頃のロッドに酷似していた。
改めて見直すと、とてもソフトなアクションだ。
バットまでスムースに曲がりこんでいく。
この柔らかさがバレ防止に繋がり、
反動が少ない分、一晩中振っても疲れにくい。
中弾性カーボンをメイン素材に使用してあり、
パラボリックな弧を描くアクション。
曲げこむほどにネバリを感じるロッドとなっている。
天龍で伝統的なアクションとされ、
シーバスロッドでは古典的になるかもしれないが、
実践的であるアクションと言える。
このアクションを現代的にアレンジしたら、
面白いロッドが出来ないか?…と思えて企画したのが
SW91L Tradist だ。
20年以上シーバスフィッシングを楽しむ方なら懐かしく思え、
近年のロッドだけをお持ちの方なら
新鮮モノに感じるかもしれない。
大河川の河口域でのシャローゲーム。
干潟でのウェーディングゲーム。
汽水湖でのウェーディングゲーム。
こんなシチュエーションを想定してセッティングしている。
ロッドの詳細については、
別の項で説明したいと思います。
たぶんタックルボックスの中は、
レッドヘッドのミノーばかり入れていくでしょうね。
これも一つの楽しみ方。
ぜひ、伝統の一端を触ってみてください。
面白いロッドですよ。
Staff : Funaki
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