この度『ロックアイ・ヴォルテックス』がフルモデルチェンジとなる。
初代ロックアイから数えて4代目。ハードロックフィッシュ専用モデルとして開発され、
ターゲット別に釣法が確立される度に進化してきた。
今作においては、今まで重視してきた『感度、操作性、パワー』の3要素を踏まえた上で、
それぞれの要素を向上させたシリーズに仕上げている。
今回のブログでは、新たに導入された技術や、前作に比べて何が変わったのかを掘り下げて紹介していきたい。
【コンセプト】
今作のコンセプトは、『剛を征する鋭敏』とした。
前述の感度、操作性、パワーという要素を更にそれぞれ向上させ、バランス良く仕上げたつもりだ。
感度ばかりを求めるとロッドはパワーを失い、
パワーばかりを求めると感度や操作性が犠牲になる傾向がある。
コンセプトにある『剛』とはパワーの事であり、
鋭敏とは『操作性』と『感度』を合わせた要素が大きく関わる。
近年のフィールドは、アングラーの増加やトーナメント開催によりタフ化しているのが現状だ。
いかにタフなフィールドでも攻め抜く姿勢を崩さず、安定した結果を残す為には
平均値が高いタックルの存在は不可欠と言える。
更に、それぞれの釣法に特化した部分も取り入れながら、
新ヴォルテックスのコンセプトが形作られている。
【軽くて強いブランク】
TENRYUユーザーの方なら既にご存知かもしれないが、
軽さを求めながら強さを手に入れる為に『C・N・T』のコンポジットは不可欠であった。
感度や操作性を求めるには、カーボン素材の高弾性化は必須で、
肉薄で軽く仕上げる事は可能になる代わりにネバリ(復元力)や根本的なパワーの面が削られてしまう。
強引なやり取りさえも必要とされるハードロックフィッシュには、
充分なパワーが無ければ勝負することも出来ない。
削っても良い贅肉部を削ぎ落としながら、C・N・Tでネバリの要素を補う考えの基でブランクを形成させている。
前作から全く同スペックと言える機種はRV712B-HHのみとなるが、
自重が約10%軽量化が出来ている点で軽くなっているのがお分かり頂けると思う。
【突き抜けたモデル】
RV912S-MLMや、RV9112S-Xといった今までに無いスペックも魅力的だ。
この2機種はフィールドテスターの佐藤氏からの発案で生まれたモデルとなる。
それぞれ遠投が主体のコンセプトにしているのは、トーナメントによる人的プレッシャーを克服する為でもある。
競技のルールに則ったスペック内であり、他のアングラーが攻められないスポットを攻略する為だ。
実のところ開発が始まったのは2019年からであり、その間に幾度となくテストを繰り返してきた。
飛距離だけに特化させず、100m近い距離のピンスポットを射抜くキャスタビリティと、
軽量なリグにも対応する操作性を合わせ持たせている。
遠投性能を求めた際に必要なガイド径は、必然的に大きくなってしまい重量が増してしまう。
重量増に伴う感度や操作性を犠牲になるのを防ぐ為、他のスピニングモデルも同様に、バットガイドのみ
チタンフレームに設定している。
一番重量に影響をおよぼす大口径のガイドを、軽量のチタンフレームガイドとする事で、
感度面や操作面での向上を図っている。
しかし、なぜ全てチタンフレームにしないのか?という疑問も出るだろう。
他のシリーズでも同じ理由で選んだのだが、強度を求めるとステンレスフレームのガイドの方が
曲がり難いといった素材自体の強さがある。
強いライン、重たいリグ、強引なファイトなどロッドに対する負荷は大きくなるばかりで、
タフなロッドに仕上げるにはステンレスフレームのガイド選択がベターとなってくる。
軽さを求めてチタンフレームにするのは簡単なのだが、安心して使える為にも
安全マージンを求めるとステンレスフレームガイドの存在は大きい。
【機能美と言えるデザイン】
ロッドを形作る上でグリップ形状も重要なファクターだ。
ブランクの良さを引き出す為には、グリップが及ぼすバランスは気をつけなければならない。
ハードロックフィッシュの場合、ロッドをアッパー方向(ティップが上)に保持する時間が長くなる。
グリップを限界まで削ると劇的に軽くは出来るが、モーメントの部分でバランスを崩してしまいかねない。
リアグリップ方向に重心を持たせ、ロッドを楽にアッパー方向にホールドし、
操作性とキャスト性能のバランスを整えるのが釣竿屋の見せ所とも言えるだろう。
各モデルに必要なリアグリップ長を用意し、モーメントを考えながら過度な軽量化はせずに仕上げたつもりだ。
西陣織カーボンのパーツは、若干の軽量化と和製である事の誇りを狙ったデザインとしている。
【ハードロックの未来像】
温暖化に伴ない、ハタ類の生息域が北限が広がりつつあり、
今まで釣れる事の無かったフィールドで新たなターゲットとして定着してきている。
キャッチ&リリースの意識が一般化したルアーフィッシングにおいては、
だいぶ魚種の資源が保たれているとは言えいくら増えたからといって相手は根魚であり、
資源として考えると限界も見えてくる。
楽しみながら過度なキャッチはせずに、次世代にも繋がるゲーム展開が理想的だ。
地域によっては稚魚放流もされている事から、こうした活動があって
アングラーが楽しめることをご理解頂きたい。
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