スパイク・トラベル (開発秘話)

スパイク・トラベルは、恐らく今までテストしてきたロッドの中で、
一番てこずり、開発に時間が掛かったロッドだったと思う。
調べてみると最初に企画を立ち上げたのは2012年4月…(笑)。
その原因は、3ピースで強度重視で作ると重く使い難いロッドになり、
アクションを重視して作ると強度が不足するといった矛盾が有ったからだ。
弊社製品で無理が出来ないロッドは、ユーザーに持って貰いたくない。
妥協せず、アクションと強度が融合した3ピースロッドが作りたかった。
数え直すのも面倒になる程のサンプルを作り、その全てを破壊テストを行い、
並行してフィールドでもキャストしてみては修正箇所を見つける繰り返し。
本当に地味で先が見えないテストを繰り返してきた。
やっと光明が見えてきたのが2015年の春だった。
実戦テストの中でブリをキャスティングで狙うことがあった。
訪れたのは愛媛県八幡浜の『うわかぜ丸』さん。
その日はソルトワールド誌の取材でもあり、
激荒れの中であったがナイスサイズのブリをゲットしている。
この時に使っていたプロトは、SK803S-MHだ。
船長と話をすると、遊漁の合間を見てGT遠征に出かける事も有るとの事で、
国内から海外まで遠征を繰り返しているという。
テストしていたロッドに興味を持ってもらい、そこからテストに加わって頂いた。
ここから開発は更に煮詰めていく事になる。
それまでMHパワーとHパワーの2機種でテストしてきたが、
GT向けとして更に強いHHも希望があり追加でテストを始めた。
ここまでくるとキャスト性能は申し分ない位になってきたが、
いざターゲットがヒットして限界まで曲げ込んだファイトをした際に
ティップからベリーにかけてのベントカーブに不安が有るとの事だった。
それは穂先と2番目のブランクを繋ぐジョイント部を中心とした辺りで、
どうしてもパワーが移り替わる際に、硬いところと柔らかい所に差が発生して
ロッドとラインの角度を鋭角にしたファイトをすると折れる心配があった。
船長からも同じ指摘を受けており、この問題をクリアしなければ発売出来ない。
無理なくスムースにカーブの頂点が移り替わる様に調整を繰り返し、
キャスト性能とファイト時の強度を兼ね備えたロッドに仕上がってきた。
そして、やっとOKサインを貰えたのが2017年の夏になってからだ。
5シーズン…。普通の企業なら開発中止と言われかねない時間を貰い、
求めていた本当に納得のいくアクションを求めたロッドが完成した。
真似たロッドは簡単に出来るかもしれないが、
実績と信頼度は容易には出来るモノでは無いと思う。
良さが分かる人だけに使って欲しいロッドだ。その性能を体感して貰いたい。
 

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