フェイテス ベネット開発秘話~Fates Benett~


 

【キッカケは、スピードスティック】
開発が始まる3年程前だったと思いますが弊社の開発室に置いてあった
開発中のバスロッドのサンプルを発見しました。
アクションはまるで「グラス素材」の様にしなやかで良く曲がり、
それでいてダルさが無く収束が早かったのです。
しかも持ってみると「えっ?」と思えるほど軽いのです。 
早速開発担当に話を聞くと、その素材は「超低弾性カーボン」で
カーボン素材の中でも一番低反発な竿になる素材との事でした。
そのフィーリングと軽さの素材でフライロッドを作ったら…、
あんなシーンやこんなシーンの想像が膨らんだのです。
以前からリクエストが多かったグラス素材の低番手のモデルを、
この素材でチャレンジしみようと開発がスタートした訳です。

【柔らかい素在が故に苦労した開発】
どんなロッドになるのかサンプルの完成を待ち詫びてる中、
遂にファーストサンプルが仕上がってきました。
空振りした時はスローアクションで、まさにグラスロッドの様な
しなやかさで本当にカーボン素材なのか疑いました。
早速フィールドに出てラインを通して実釣を開始すると
バッドパワーが不足している為かフォルスキャストでもラインが出て行かず、
この状態では実釣にはとても使えない状態でした。
セクション毎にパワーを変えればロッド全体のバランスが崩れたり、
単純にバットパワーを上げれば良い訳ではない事も分かりました。
試行錯誤を繰り返し3回目から4回目のサンプルで、
全体的なバランスも取れてだいぶ形になりました。
あとは、どのキャストゾーンにあわせるか?となります。
近距離から中距離に合わせれば、遠投性能が物足りなくなります。
それぞれ機種に、シチュエーションを考えて味付けしていきました。

【新旧ベネット】
以前にTENRYUの古いカタログを読んでいた際に、
旧ベネットの内容に目が留まりました。
1996年に発売された、グラス素材をベースにしたフライロッドでした。
バット部にカーボン素材をコンポジットされており、
グラスの懐かしさとカーボンによる快適さを合わせたシリーズでした。
惜しくも同シリーズは後継モデルに座を譲り、2002年に廃盤となっています。
そのカタログに書いてあったコンセプト文が刺さりました。

★下記画像は1996年当時のカタログを抜粋しています。
 『OLD IS NEW』
 古いものと新しいものとが見事に調和したとき、
 そこに湧きあがりくる懐古のおもいが
 想像以上にいまによみがえってくるのです…(以下省略)

まさに今回テストしているロッドと同じ方向性を向いていたのでした。
旧ベネットはグラス素材(古い)とカーボン素材(新しい)を合わせ、
新しいロッドの作成を試みていました。
今回の新ベネットは、グラスのフィーリング(古い)近づけながらも、
低弾性カーボン(新しい)の技術を合わせる試みとなったのです。
ただし、追い求めたのは技術ではなく『道具としての楽しみ』と、
『一尾との出会い』を重視したロッドに仕上げたつもりです。
懐かしさを感じるテイストという部分を継承しつつ、
投げて楽しい・釣っても楽しいロッドになったと思います。
ぜひ、一度手にとって振ってみて下さい。
フィールドの景色が見えたら、それは素晴らしい事と思えます。

Staff Takezawa

 

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