【温故知新】
本作を紹介するにあたって、旧レイズ(RZ87H)を語らないと始まらない。
2014年の春にまで及んだテストを終え、その年の夏にRZ87Hがリリースに至った。
当時の記録を読み返すと、2シーズンに渡ってテスターの佐藤氏とのやり取りが残っている。
発端は東北の大河川での使用を目的とした、サクラマス向けロングロッドの開発であった。
PEラインとヘビーウェイトルアーの対応、
遠投性能と操作性を併せ持ったキャスタビリティなど、
徹底してフィールドワークから得られる情報からロッドを構築していった。
そして今作は、実釣テスト期間だけでも3シーズン。
構想と最終調整も合わせると、更に長い時間を要して完成に至った訳だ。
本当に呆れる程のテストを繰り返したと思えるし、
長期間のテストにも佐藤氏の熱意は途切れることなく進められたのは、
面白いロッドに仕上がるという目標が見えていたからに他ならない。
実際に厳しいと言われた条件下でも確実に実績を重ね、
その効果は各誌面で紹介されている通り釣果として実証されている。
【遥か沖を狙い撃つロングキャストモデル】
はじめに佐藤氏とのディスカッションで進化の余地を探ってみると、
更なる飛距離の向上が次のステップの第一歩であった。
より遠くに正確にルアーをプレゼンテーション出来ることは、
氏がホームとしているフィールドでは確実なアドバンテージをもたらしてくれる。
前作 RZ87H の大ヒットで多くのアングラーに手に取って貰えたことで、
沢山の方に数多くの実績をもたらしてくれたのは周知の事実だが、
もともと競争率の高いエリアであればスキルアップは勿論のこと、
道具の進化がないと釣果アップは難しくなってくる。
そこで提案されたのが、もっと飛距離を稼げるロッドの開発だった。
飛距離を出そうとサーフロッドの様に長くすれば必然的に飛ぶようになるが、
相反して操作性の面は失われてしまう。
RZ87Hで得ていた『飛距離』と『操作性』の両立は崩したくない為、
全長を伸ばしながらもキャスタビリティを落とさないレングスと硬さを探っていった。
そこで行き着いた答えが、9フィート1インチという長さであった。
単純に長くなった訳ではなく、長くするとダルさが出てしまう事を考慮し、
バット部(主にバットガイドより下部)の強化に加え、カーボンの弾性率やパターンを変え、
何度もテストと試作を繰り返しながら、飛距離と操作性の黄金比を探った訳だ。
【タックルバランス】
遠投性能の向上を図るには、細めのPEラインと適度なウェイトのルアーが必要だ。
ただし、闇雲にライン細ければ良いわけでもなくルアーも重いだけが全てではない。
条件次第では、通常のミノープラグやスプーンも扱える許容を持たせ、
変化する条件に合わせたタックルのセレクトが出来る様にもしている。
下記に示すのは佐藤氏がテスト時に扱った一例だ。
テスト時(2020年 誌面掲載時)
Rod : Rayz RZ912S-H
Reel : Vanquish 3000MHG , STELLA 4000XG , EXSIST 3012
Line : VARIVAS MAXPOWER S-spec(PE 0.6-0.8号)
Leader : BigTroutShockLeader(14-16lb)
Lure : RiggeFLAT 80S(13.4g)
RiggeRunnway 93SS(15g)
ZBL VIB 80(25g)
Realize(21g)
BUNGYSHOT(20g,30g)
リールは、D社であれば3000(LT4000)クラス、S社ならば3000-4000番クラスが適合する。
ラインは0.8号を選んで頂くのがお勧めで、0.6号はエキスパート向けと言える。
あまり細いラインを使うとキャスト時にロッドの硬さが勝ってしまい切れる恐れもあるため、
ある程度ロッドを使い込んでから試して頂くのが宜しいと思う。
ただ、細ラインの圧倒的な飛距離を体感すると他にはない爽快感を味わえるはずだ。
ルアーも、出番の多い7~9cmクラスのミノープラグにも対応し、
10~20g程のスプーンやバイブレーションも扱いやすい範囲となっている。
【他モデルとの違い】
ガイドはハイフット(足高)のKガイド(チタンフレーム、SiC)を採用した。
(SiCリングはトップ以外はSiC-Sタイプとなっている…これは全機種共通)
足高にする事で、放出されるラインをスムースに通し抵抗を軽減させる狙いがあり、
トップに向かって急激に小口径のリングにすることで軽量化と高感度化を狙っている。
☆RZ842S-MMHとのガイド径との違いは、別項で説明 → RZ842S-MMH
リアグリップは、前作 RZ87H と比べ 15mm 長くしている。
最初期のテストでは 315㎜ に設定していたが、モーメントの改善のを図って
今作ではリアグリップ長を 330㎜ に設定している。
このちょっとした違いを整えることで、狙いのバランスを探ってみた訳だ。
上記グリップの写真は、1シーズン佐藤氏がフルにテストした最終サンプルであり、
数えきれない程のキャストを繰り返したのが黒く痩せたグリップでお分かり頂けるだろう。
【新たなサクラマスモデル】
余談だがRZ87Hの初期モデルにはサブネームとしてSAKURAと表記していたが、
大人の事情でサブネームをSilverScaleに変更させて頂いている。
ユーザーの方より違うロッドなの?と問い合わせてを頂く事があったが、
サブネームだけ変わっただけで全く同じロッドだという事を記しておきたい。
さておき、最初からこのモデルが出来ていたら…と考えてしまうかもしれないが、
RZ87Hが有ったからこそ完成出来たモデルなんだと思っている。
2012年から始めたレイズのサクラマスモデルは、
8年の歳月を経て今作のRZ912S-Hの完成に至った。
正統進化した 91(SilverScale) の実力を体感して頂きたい。
Staff Funaki
【TestReport】
【Rayz series concept 】
SpinningType
・RZ4102S-UL Twitchin'(2019年11月13日掲載)
・RZ542S-L Jerkin'(2019年11月14日掲載)
・RZ632S-L Jerkin'(2019年11月14日掲載)
・RZ6102S-LML Super Yamame(2019年11月26日掲載)
・RZ772S-ML VariableShooter(2019年12月6日掲載)
・RZ842S-MMH SilverScale(2020年12月15日)
BaitType
・RZ4102B-UL Twitchin'(2019年11月13日掲載)
・RZ542B-L Jerkin'(2019年11月14日掲載)
・RZ712B-MLM Variable-Hounder(2019年12月3日掲載)
・RZ842B-MMH SilverScale(2020年12月15日)
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