Rayz Alter RZA5102S-LLT (Variable Crankin')

 

Rayz Alter RZA5102S-LLT (Variable Crankin')
Lure : MAX5g  Line : MAX4lb (PE  MAX 0.6)

 

 

レイズ・オルタのフルモデルチェンジにあたり、異色の1機種を追加した。
それが今機種の、RZA5102S-LLT である。今回は、その全貌を明かしていこう。

【全速度域対応クランキンスティック】
全速度域と銘打ったコンセプトとは、リトリーブした際にルアーの速度を表していて、
早く引いたり遅く引いても同じ使用感で使える事を意味している。
初めて触った方は、理由を知らなければ、何だこの柔らかいロッドは?と戸惑いを感じるかもしれない。
エリア・トラウトで使用頻度の高い大きさのクランクベイトにおいて、
ユックリ(遅く)リトリーブする分には、極論を言えばどんなロッドでも何とか使えてしまう。
それは遅く動かす分には抵抗が少ないため、柔らかいロッドであっても使えてしまうからだ。
しかし、早くリトリーブする分だけ抵抗が強まり、リップが大きなルアーほど適度なパワーが必要で、
逆に硬すぎるとエリア・トラウトで使用するルアーに対してオーバースペックとなってしまう。
この矛盾を払拭する事は出来ないのか?と模索していた際に、一筋の光明が見えたのが、超低弾性カーボンという素材だった。

 

【超低弾性カーボン素材】 
このRZA5102S-LLTのブランクには、メイン素材として超低弾性カーボン(※)を採用している。
その名の通り弾性率(反発)が低いカーボン素材であり、グラス素材に近い弾性のカーボンを選んでいる。
(※専門的に言うと、厳密には超低弾性カーボンというクラス分けは無いが、あえて分かり易くした表現とお考え頂きたい)
尚、機種名の最後にTと入れているのは、チューブラの頭文字を取っていれあり、中空パイプ状のブランクという意である。
現代のロッドに使われる素材として、カーボン素材とグラス素材が一般的だ。
グラス素材の方が弾性率が低く、カーボンに比べて柔らかく感じられる。
グラスの特性上、カーボンと同じパワー(硬さ)を持たせようと思うと自重が重くなってしまう傾向があるが、
その代わりにトルクがあり使用出来るルアーの許容量が広い。
カーボン素材は、グラスとは逆に軽く反発に富んだ調子を表現しやすいが、
高弾性にするほど使えるルアーの許容量は狭くなる。
超低弾性カーボンの特性は、グラスの許容量の広さと、カーボンの軽さを合わせ持った素材という事だ。
しかし、長所ばかりでは無くデメリットもあり、感度の面では弾性率が下がるほど感度も低くなる。
後述するが、感度を伴って超低弾性カーボンの良さを引き出すにはタックルバランスも重要だ。 

【開発の舞台裏】
さて、この素材を使いはじめるキッカケは、バスロッドのスピードスティックを開発経緯が関係する。
実は完成まで5年の歳月を要したのだが、
その背景にはスピードスティックを作った際に利用した超低弾性カーボンがあったからこそ出来たといって過言ではない。
前作の時点から本機種のテストをしており、初期のサンプルはグラス素材からスタートしていた。
前述の通りグラスの方が、許容量が広く引き抵抗の強いルアーから、軽量で抵抗の弱いルアーまで使えるのだが、
いかに加工しても理想とするロッドには程遠く、重くダルいロッドにしかならなかった。
昔懐かしのアクションと言えば、それなりの評価は得られたと思うが、
私が欲したのは軽く・しなかやで、1本で幅広く遊べるロッドである。
並行して開発していたスピードスティックのおいて、超低弾性カーボンといった答えが出たとき、
この素材をオルタに使用してはどうか?と試したところ、それがバチン!とハマった訳だ。

【適合ルアー】
近年のルアーで言えば、2.5cm(約1g)から7cm(4g)までを扱えると言えば伝わり易いだろうか。
古くはフラットフィッシュ(ヘリン社)をはじめ、
近年のエリアではニョロ系と呼ばれるルアーから、実に様々なクランクベイトが出揃っている。
総じて言えるのは、抵抗があるルアーであるため、
大小のサイズを扱うには何本ものロッドを欲しくなってしまうが、RZA5102S-LLTなら大抵は対応してくれる。
旧シリーズから引き続いて、RZA612S-LTといったクランクに使えるモデルは用意したが、
あくまでスプーンも含めたオールマイティを求めたアクションだ。
フラットフィッシュのX4といったサイズを使うには、RZA612S-LTではパワーが足りず、RZA602S-MLMでは張りが強すぎた。
スプーンの使用も充分に可能だが、RZA612S-LTやRZA622S-ULSに比べると、感度や扱いやすさは劣るのは否めない。
感度を補う意味で、極細のPEラインと組み合わせるのがオススメだ。
特性を知っていてこそ、使い分けを楽しめるロッドと言える。

【ネイティブの遊び方】
オルタの基本コンセプトは、自由に楽しむことであり、
エリア(管理釣場)からネイティブ(自然渓流)のどちらでも遊べることだ。
RZA5102S-LLTも自然渓流で扱えるスペックてしており、特にスピナーやスプーンとの組み合わせは面白い。
エリアで使用しているラインやリールを、そのまま流用しても充分に遊べる。
私は夏季のタフコンディション下において、2〜4g程のスピナーを使用したゲームには、
他のタックルでは代用が効かない程の信頼を置いている。
高水温期には魚のチェイスは有っても、バイトに至らない魚は大変多く、
そんな魚はスピナーが効く事が多々ある。
ただし、活性は低いので浅いバイトでは、
反転した際にミノー向けの張りが強いロッドだと浅掛かりでフックアウトしやすい。
そこで、このロッドに極細PEラインを組み合わせ、
バイトしたら反転させて口の横(カンヌキ部)にフックアップを狙う。
ロッドの適度な柔らかさが、フックポイントを口に留めさせ、
反転して水流と魚体の重さでフックのフトコロ深くに乗せ掛けていくイメージだ。
そうする事で、数少ないバイトでもキャッチ率を高める事が出来るわけである。
もちろんミノープラグも使う事は出来るが、トウィッチ等の小細工には不向きな事はご理解頂きたい。
リトリーブするだけの所謂『ただ巻き』向けのルアーがベストという訳だ。

【適合バランス】
①エリア・トラウト向け
 リール : D社(LT2000) S社(C2000)
 ライン : PE 0.2〜0.6号 
 Nylon 3〜4 lb
 ルアー : クランクベイト全般
②ネイティブ・トラウト向け
 リール : D社(LT2000) S社(C2000)
 ライン : PE 0.2〜0.6号 
 Nylon 3〜4 lb
 ルアー : スピナー 2〜4g

【通常システムにプラスアルファ】
このモデルはエリア・トラウトのジャンルで言えば、かなりマニアックな部類のロッドと言えるだろう。
通常で使用するスプーン向けのタックルと共に、
クランクベイト等の専用機として組み合わせる事で奥深いゲームを体験出来るはずだ。
気になったら1度手にとって、アクションを確かめてみて欲しい。
ここまで読んだ方なら、なるほどと感じて貰えるだろう。

Staff Funaki

 

JUGEMテーマ:フィッシング

コメント

タイトルとURLをコピーしました