レイズ・スペクトラの6フィート台を期待されていた方は沢山居られたはずだ。
この度およそ2シーズンの間テストを経て、
やっと納得のいくアクションが出せたことで発表した次第だ。
すでにスペックと簡易的なコンセプトは公開しているが、
今回はもっと深掘りして紹介していこうと思う。
・スペクトラから産まれたスペクトラ
スペクトラ〝RZS61LL〟は、同じスペクトラの〝RZS51LL〟のコンセプトを基に、
清流域から中流域の攻略を想定して作った経緯がある。
既にスペクトラ RZS51LLのユーザーの方ならイメージ出来ると思うが、
細身でピンッとした鋭敏なブランクが特徴で、
軽量ルアーの操作性とピンを射抜くキャスト精度も向上させたモデルだ。
あの操作性を、そのまま清流・中流域で使えると想像しただけで、
何かワクワクしてしまうアングラーも少なくないはず。
→ Twitchin'の進化形 Rayz Spectra RZS51LL(2015年10月31日掲載記事)
このRZS51LLをベースに全長を1フィート延長した事で、
適度な川幅でも軽量なルアーの遠投性能の向上を狙っている。
もちろん『Twitchin'Custom』のサブネームを受け継いでおり、
渓流で扱うサイズのルアーを本流で試せるロッドという事も含めてみた。
このコンセプトの背景にはテストや取材釣行にて、
各地のフィールドで年々難しさが高まってきていると感じていたからだった。
トラウトフィッシングの人気の高まりとは裏腹に、
アングラーが入っていないフィールドを探すのが難しい時代だ。
人的プレッシャーは釣果への影響は多大であり、
ヤマメやアマゴは人間を認識してしまうと釣るのは極めて困難となる。
何とかして釣ろうと、ラインを細くしたり、
ルアーを小さくしたりするのは何処に行っても共通なのだが、
如何に魚に悟られず軽量なルアー(違和感を抱かせないルアー)で
アプローチ出来ないかと思って作ったのが本作である。
お伝えたいのは決して小さいルアーに頼るのではなく、
フローティング系のプラグなど動きに〝キレ〟を求めたルアーは一様に
軽くなる傾向があるためTwitchin'Customの性能が必要だった。
・RZS51LLとの違い
1フィートとの違いだけでは全ては語れない。
一般的にロッドは長くすると、同じ硬さに設定してもダルさが出てきてしまう。
これは長い程ティップが重力の影響で垂れてしまい、
バットの強さが適度に強くないと振った際にダヨダヨに感じてしまうからだ。
従って厳密にはバットの〝張り〟を若干強めに設定してあり、
キャスト時に出来るだけティップのブレを押さえられる様にしている。
〝張り〟と表現したのは、バットパワーを強くしてしまうと
特有のシャープ感がスポイルされてしまう為、
バットパワーは変えず張りを強める事でブレを収束させている。
また、長さを利用して手前に走る流れを跨いでアプローチする際など、
ラインを水面に付けずに誘いを入れられる点もアドバンテージと言えるだろう。
ガイドも、ラインの抜けを期待して1番手大きなサイズを採用してみた。
RZS51LLと同じルアー・同じラインを付けて比較すると、
軽い振りで飛距離の違いを感じて貰えるはずだ。
グリップレングスは、リアグリップを30mm延長してみた。
基本的にシングルハンド(片手)でのキャストを想定しての長さで、
キャスト時のブレを抑え、手元に重心が来る様に設定している。
・タックルバランス
得意とするルアーは、渓流域で使う5cmクラスのミノープラグから、
清流・中流域で頻度の高い6~7cmクラスのミノープラグだ。
近年増えた本流でのヘビーウェイト系ミノーには不向きで、
ルアーウェイトでいえば、3~5g程が適合範囲と感じている。
ラインの設定は、ナイロンラインで4~5lb、PEラインで0.4~0.6号が扱い易く、
渓流域で使うラインと同じでリールのサイズも同じで良い。
狙っているターゲットサイズは40cm程度までと捉えており、
これより強いライン選択はターゲットに対して面白さが半減してしまうのと、
ブランクの強度に対しても過剰な設定になってしまうので注意が必要だ。
あくまでロッドの性能を最大限まで引き出せるのが、
このラインの範囲だと覚えておいて良いと思う。
PEラインの使用はフック選びにも気を配って頂きたい。
近年のフックはフッ素コーティングなど非常に刺さり易さを重視されており、
スッと入っていくが逆に抜け易さにも繋がってしまっている。
スペクトラは総じて弾性率を高くしたブランクとなっており、
張りが強いために気を抜くとテンションが抜け易い傾向がある。
リールのドラッグ調整だけでは対応しきれない条件も有り、
案外フッ素加工されていないフックの方がバレ難いという面も有ったりする。
(私の場合は、全ての条件でバーブレスのため特に気を配っている)
そのため、刺さりを重視したフックにはナイロンラインと組み合わせたり、
PEラインを扱いたい場合はフックの形状や加工法も拘ってみると良いだろう。
・渓流×本流
同シリーズにおいても、とても個性が強いロッドに仕上がったと思っている。
渓流域のタックルのまま、本流域で使えるという点にコダワリ、
フィネスタックルで本流鱒との駆け引きを楽しめるロッドに仕上げてみた。
決してバーサタイルな機種ではなく、かなりニッチなモデルだと思う。
ただ、厳しい条件下になるほどロッドから得られるアドバンテージは、
今までのモデルには無いモノを秘めていると感じている。
『Twitchin'Custom』の新たなる領域を体感して頂きたい。
Staff Funaki
JUGEMテーマ:フィッシング
コメント