SWAT SW1072S-ML Variable Distance
Lure : MAX45g Line : MAX16lb (PE MAX 1.5号)
【コンセプト】
遠近対応ロングモデル
広大なサーフエリア、大規模河川の河口エリア等で
顕著な遠投性能を実現するレングスと、波打ち際など近距離でのバイトを拾う
ソフトなティップを持たせ、遠近両方のターゲットを攻略するロングモデル。
シャープなキャストフィールの中に、大型シーバスをいなす柔軟で力強いパワーを併せ持たせました。
【特徴】
シーバスロッドであることを基準に、
適度な遠投性能とソフトなティップセクションが特徴だ。
広大なサーフエリアや大河川の河口エリア等では遠投で探るだけでなく、
ナイトゲーム等で波打ち際でのバイトも拾える調子を求めた。
遠投重視のロッドを求めだすと、反発力を出すために張りが強くなる傾向がある。
飛距離こそ出てもティップまで硬くすると、
シーバスをはじめとしたターゲットは吸い込むバイトを行うため、
張りが強いロッドではテンションが掛かりすぎて
上手くフックまで吸い込まれない事がおきる。
いわゆる『バイトを弾く』という現象だ。
貴重なバイトチャンスを逃したくないのは全てのアングラーが求めることだろう。
そのためサーフ向けのロッドとしては珍しい、
しなやかなアクション(調子)が特徴のモデルに仕上げてみた。
【他のモデルとの違い】
前作であるSW107MLと比べると、全くの別物に仕上がっている。
ティップの『しなやかさ』は継承しつつも、全体的にシャープで振り抜き感が向上したのと、
バットにはC・N・Tをコンポジットしているのでネバリ強さが増している。
同シリーズ内で言えば、軽いルアーならSW932S-LMLが良いし、
汎用性を求めるならSW972S-MLが素晴らしい。
汎用性に遠投性能を加味するとSW1072S-MLが良いだろう。
SW1163S-Mでは、メインフィールドが平磯でありヒラスズキが主体のロッドになる。
パワーマスターサンドウォーカー PMS1032S-MLMでは、SW1072S-MLよりも半ランクパワーが強く、
使えるルアーの幅やラインも少しだけ強めに設定できるので、
ヒラメ狙いなどではPMS1032S-MLMの方が出番となるだろう。
【スペック】
ど真ん中と言えるルアーウェイトは、20g〜25gのミノーをはじめとしたプラグ類だ。
下限では8〜10gのプラグ類で、上限として45gまでのメタル系ルアーをフルキャスト可能だ。
プラグ類の上限としては40g程までが気持ちよく振り抜ける。
下限〜ど真ん中となるルアーウェイトはSW972S-MLとあまり差は無いが、
MLパワーの範囲では上限値が高く汎用性の広さを感じられるはずだ。
【タックルバランス】
推奨リールサイズ
スピニングタイプ
DAIWA社 : LT4000-LT5000番 SHIMANO社 : 4000-C5000番
おそらく問い合わせで多いと思われるのが、
D社のLT3000番、S社のC3000番ではダメなのか?という事だろ。
推奨値よりも小型であっても問題はない。
気にしたいのはスプール口径であり、口経が大きいタイプは、
キャスト時に抵抗が少なく飛距離に直結するからだ。
なぜ?かと言うと、小口径のスプールの場合、
キャストしてラインが放出されるとスプールに巻かれているラインの直径が細くなるのが早く、
スプールエッジにラインが当たる抵抗が強くなるため失速しやすくなってしまう。
対してスプール口径が大きいと、キャストしてもスプールに巻かれている
ラインの減少が緩やかで、抵抗が大きくなるのを防げるからだ。
遠投競技などで大型リールを使うには、そういった理由が存在している。
実釣の面においても、小型でハイギアにすれば軽量化は図れるのだが、
遠投を視野に入れる際にはスプール口径を気にしてリールを選ぶように心掛けたい。
推奨ライン
PEライン : 0.8号〜1.2号
リーダー : 16lb〜25lb
ラインの太さに関しては、細いほど遠投能力は見込めるし、
太いほど大型がヒットさせた時の余裕が生まれてくる。
フィールドによってだが、マルスズキが主体ならPE1号に
20lbリーダーを組めばランカー級にも充分対応は可能になる。
ただし、フィールドによっては青物や、オオニベなど
弩級のサイズがヒットしてしまうエリアも有るので、
PE1.5号 リーダー30lb程までを上限にバランスを組んで頂きたい。
ただし、あくまでラインパワーは16lb級であり、ドラグ値は2kg以内に設定するのが望ましい。
まぁ大概は、1kgのドラグ設定なら余裕を持ってランカー級のシーバスをキャッチ出来るだろう。
【2名のテスター】
このモデルには、フィールドテスターの久保田氏と中野氏の2名にテストを依頼した。
天龍テスター陣では東西を分かち合うビックフィッシュハンターであり、
関東の激戦区である湘南のサーフエリアがホームフィールドの久保田氏と、
九州屈指の大物が狙える志布志エリアがホームの中野氏に、
2シーズンに渡って釣果を重ねて貰った。
昨年(2023年)の暮れに、fimo-TVにてテスト中である事を紹介する動画が公開となっている。
この時点でロッドの完成度は7割程度まで来ていたが、まだ納得が行かずに再試作を行うことになっていた。
その辺の話は、下記の裏話にて紹介していこう。
【開発裏話】
さて、この機種はサーフ向けシーバスロッドであることを掲げて開発をスタートした。
私の一存で、最初の試作1作目は飛距離を優先してパリパリに仕上げたロッドにしていた。
そこでテスターのお二人に渡したところ…すぐに返答があり、
そろって「硬い」との返事だった。
前述の通り、硬いロッドほど反発力に優れるため飛距離を出しやすくなる一方、
シーバスのバイトは弾きやすくなってしまう。
また自重とバランスが悪いせいか、持ち重り感も良くないとの事だった。
次のサンプルでも硬いとの返事で、回を重ねる事に徐々にソフトなアクションに変化させていき、
モーメントの面も改善させて持ち重り感を減らす様にしていった。
そして、例のフィーモのロケを行う頃には4〜5本目の試作ロッドをテストしている段階であった。
テストは佳境に入っており、2種の試作ロッドからどちらか1本を選ぶ段階となっていた。
その違いは…
①やや飛距離を優先したアクションで、全体的に張り感を出して振り切り易いのが特徴のモデル。
②バット部に張り感は残して振り切り易くしながら、柔軟なティップを持たせて、
僅かながら飛距離を犠牲にしながらもバイトを弾きにくい硬さを求めたモデル。
以上の2タイプから選ぶことになっていたのだ。
ある日、久保田氏が湘南のサーフで大型のシーバスを連発させる事があり、
その際に言われたのが、波打ち際でのバイトが多発すると
ソフトなティップでなければヒットに持ち込めないとの事だった。
サーフ向けと言えば、第一に飛距離と言われるのが道理ではあるが、
全て遠投してのヒットだけでなく、
真っ暗闇のサーフでは波打ち際がフィーディングゾーンとなりやすく、
ティップまでハリ感が強い①の試作モデルてはバイトを弾きやすい。
また、大型河川の河口エリアでは、流れが有る状況でバイトを弾く傾向が有るため、
必然的に②のソフトなティップのモデルが必須となってくる。
これは両テスターでも同意見であり、結論として遠投性能の残しつつ、
バイトを弾き難いティップのモデルにて完成に至った訳である。
最初期のロッドと、最終プロトを比べたら、
ここまで違うのか?と笑ってしまうくらい開発で変化が有ったモデルだった。
改めてロッド作りの難しさと、面白さを再認識したモデルでもあったと思えた。
【アングラーに向けて】
主たるターゲットのシーバスは、フィールドによって求められる要素は変わり、
全国どこのフィールドでも通用する様に仕上げたつもりだ。
一度手に取って頂きたい。サブネームにも入れた、
Variable Distance (バリアブル ディスタンス)の意味を感じ取って頂ければ幸いだ。
Staff Funaki
JUGEMテーマ:フィッシング
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